過去の相棒 "W650"



カワサキW650 → 2000年6月〜2012年5月

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W650のエンジンが逝ってしまった。
覚悟をしていたとはいえ、突然のできごとだった。





W
との最後の旅になってしまったのは鹿児島。
東京から高速で大阪へ走ったときは何も問題はなかった。


鹿児島を走っているとき急に不調になったエンジン。
なんとか中低速では走れるが、完全にパワーとトルクがなくなった。




回転が上がらず速度も出ない。
それでも誤魔化しながら、ゆっくりと走った。

鹿児島市内のバイク屋で相談にのってもらったが、お手上げ状態だった。
もしかするとエンジンの焼き付きかもしれない。


あとはもう鹿児島の志布志港から東京行きのフェリーに乗るしかない。
しかし途中で走ることも不安になってきた。

何回もエンジンが止まるようになり、もう坂道を上がる力もなくなってきた。
キックもかからず、押しがけをしながら必死。



最後の力を出して近くにあったキャンプ場へ。
とりあえず落ち着いて、様子をみることに。


キャンプ場に着くと、完全にセルもダメになった。
もうどうすることもできない。


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いろいろ考えた結果、トラックで東京まで輸送することにした。
安いとはいえないけど、港まで運んでフェリーに乗せるよりマシな額。

ただ九州から運ぶトラックが週に一便しかなく、早くても三日後だった。




雨が降るキャンプ場で、Wを眺めながら過ごした三日間。


   この雨にやられてエンジンがいかれちまった
   俺らのポンコツとうとうつぶれちまった
   バッテリーはビンビンだぜ
   いつものようにキメてブッ飛ばそうぜ
   こんな夜におまえに乗れないなんて
   こんな夜に発車できないなんて

 夜のキャンプ場で「雨あがりの夜空に」を聞いていると、今までの旅のことが蘇ってきた。





そして雨も上がった晴れた日に、東京へ行くトラックに乗せて見送った。
Wと別々に帰るのは初めてとなった。


 

 



その後、馴染みのバイク屋との相談の結果、Wの廃車を決めた。
たとえお金をかけてエンジンを復活させたとしても、どのくらい走られるか分からない。


いつかは、こういう日が来ると覚悟していた。
意外と冷めている自分もいるが、ただただ今は言葉にならない。


最後の走りが九州とは、旅が好きな自分とWらしくていいよね。



全走行距離は141638キロ。
12年間で走った14万キロは旅の思い出の証。

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今はとにかくWに感謝の言葉しかない。



Good bye "W"

Many thanks !



今まで、ありがとう。

さよなら、旅の相棒。



 

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・2012年5月