明るくなってきた5時に起きて外を見ると曇っている。
天気予報では晴れなので、そう信じて山登りの準備をする。
ゆっくりコーヒーを飲んでから、6時半にキャンプ場を出発。
岩手山には雲がかかっているけど、早朝のせいかもしれない。
いくつかある登山コースのうち、一般的な柳沢コースを登ることにした。
キャンプ場から近いし、この登山道だけ水場があった。
馬返し登山口の駐車場にはすでに車がいっぱいなので驚いた。
さすが大型連休のシルバーウィークだ。
仕方なく入り口の端にWを停めて準備をする。
登山口には馬返キャンプ場があり便利かと思ったけど、サイトのほとんどが斜面だし、朝は登山者で賑わうので落ち着けなさそう。
湧き出ている鬼又清水をペットボトルに入れて、ここからが本当の登山開始。
まず登山者カードに記入してから歩き出す。
林の中を進んでいくと0.5合目の表示。
なんじゃ、0.5合目って。そんな細かに表示しなくてもいいのに。
さらに急な坂を歩いていくと一合目に着く。
一合目と思うと頂上が遠く感じてしまうな。
展望もよくなってきて青空も見えるので元気が出てくる。
紅葉も少し進んでいるようだ。
今度の表示を見ると2.5合目。
またまた半端だけど、それよりいつ二合目を過ぎたんだろうか。
ここで登山道が新道と旧道に分かれる。
迷わず展望が開けているらしい旧道を選ぶ。
荒れた岩場が続くけど、登山渋滞で前の人が進むまでゆっくりペース。
すぐ三合目になり、景色がよくなってくるけどガレ場が続く。
雲の流れが早くて晴れていたかと思うと急に曇ってくる。
暑いんだけど風が吹くと肌寒い。
途中途中でひと息つきながら登っていると、いつの間にか七合目に到着していた。
あれ、いつの間にか四合目から六合目を通り過ぎていたようだ。
ずっとガレ場や岩場が続いたので一気に疲れが出てきた。
七合目からは今までより展望がよくなってくる。
それほど登りも急でないので気持ちよく歩ける。
すると、あっという間に八合目だ。
何だか一合目ごとの間隔が短いような気がする。
八合目には立派な山小屋があり、広場ではたくさんの人が休憩している。
ここには水場の御成清水もあるので助かる。
自衛隊の人たちが大勢いたので、岩手山は訓練用の山に思えてきた。
ちなみに岩手山の麓に岩手駐屯地があり、演習場で訓練している音が聞こえてくるので最初は驚いた。
九合目までもわりと平坦な登山道なので景色を楽しみながら歩く。
高山植物も多くて、夏場だと花でたくさんだったんだろうな。
そして九合目の不動平にはベンチや小さな避難用の山小屋があり広い。
天気もいいので、とにかく景色がきれいだ。
岩手山頂上の外輪山の光景が絶景。
さあ、あとは山頂を目指すだけ。
急な登りになるけど、中腹のガレ場に比べれば登りやすい。
今まで山頂にかかっていた雲も流れて青空になってきた。
やっと外輪山に着くと火口の中が迫力満点。
火山の山だということがよくわかる。
外輪山のまわりで一番高いのが岩手山で最高峰の薬師岳だ。
あとはゆっくりと景色を楽しみながら歩いていく。
振り返ると九合目の不動平がきれいだ。
とにかく風が強いので気をつけながら歩く。
外輪山には一定の間隔で石仏が並んでいるのが印象的。
そしてついに岩手山の頂上に到着だ。
石の祠がある2038メートルの山頂からの眺めは最高。
残念ながら石の祠が逆光で見づらいけど。
しばらく休憩していたら、あとから自衛隊の団体さんが来たので出発しよう。
外輪山をぐるっと一周できるので、登ってきた登山道まで時計回りで歩く。
火口の中には岩手神社奥の院があり印象的な風景。
最後に頂上の薬師岳をもう一度よく見直して下っていこう。
また九合目に戻ってくると、あまりの快晴でのんびりしてしまった。
強い風も山頂だけで九合目は穏やかだ。
軽い昼食のあとは登ってきた登山道を戻るだけ。
八合目の山小屋で少し休憩してから、七合目から下のガレ場に注意して降りていく。
気をつけていても二回くらい滑って尻餅をついてしまった。
標高が下がってくると暑さが増してくるので汗が止まらない。
山頂の肌寒さが嘘のようだ。
戻りは逆に新道を使ってみたが、ただ林の中の登山道だった。
ついに登山口に戻ってきて岩手山の登山が終了。
鬼又清水の冷たい水で顔を洗って、ごくごく飲むと最高にうまい。
休憩も入れて往復で七時間の登山だったので、かなりいいペースだった。
駐車場まで戻ってくると、Wを停めていた場所にアイス売りのお母さんがいた。
どうやらこのスペースは商売場所だったようで申し訳なかったかな。
お母さんもオートバイに先を越されたのは初めてのようで笑っていた。
せっかくなのでアイスクリンを買って休憩することに。
ちょうどいい世間話の時間となったかも。
Wをどかしたあと、お母さんの店の移動を手伝う。
今日は暑くなったのでアイスの売り上げが伸びるといいね。
出発すると駐車場に入りきれない車が道路にずっと並んでいる。
この連休で快晴になったので、一気に登山者が来たんだ。
キャンプ場に戻る途中で、昨日も寄った場所に行ってみる。
今日の風景のほうがきれいだ。
改めて岩手山を見ると、あの山に登ったんだよなと感慨深くなった。
まだ時間も早いので網張温泉へ行ってみることに。
久しぶりに露天の仙女の湯に入りたい。
南部片富士と呼ばれる岩手山だけど、網張温泉のほうへ来ると岩手山の表情が変わってくる。
それだけ見る方向からの姿が違うのだ。
すぐ網張温泉には着いて、露天まで少し歩くと男女別の脱衣所がある。
あれ、昔に入ったときと様子が変わっている。
以前はかなり開放的でワイルドな露天だったのに、こぢんまりとひとつだけの湯船になっていた。
いくら混浴で景色がいいといっても、これでは少しガッカリ。
お湯はいいだけに、混んでいる露天では落ち着けない。
国民休暇村が管理する露天だから仕方ないかも。
キャンプ場に戻ると少し休憩して、またお山の湯に行くことに。
歩いて行く場合は草原をショートカットする方法を見つけた。
これなら交通量のある道路を歩かなくてすむ。
なんといっても広い草原から見る鞍掛山と岩手山が素晴らしい。
しかも誰も気づかないほどのスポットだから独占できる。
キャンプ場からわざわざ歩いて温泉に行く人がいないみたい。
温泉から戻るときの夕日は昨日に比べるといまいちかな。
ビールを飲みながら、食事を作って岩手山を登ったことを思い出す。
焚き火をして気持ちいい疲れに酔って、早めに寝ることにした。
あまりに星がきれいなので寝るのが惜しいけど疲れには勝てない。