まだ朝の7時だったので、ここで涸沢のテン場に戻るか迷った。
そのあと上高地まで行くので、これ以上の時間と体力は使いたくない。
しかしこの快晴のため、あとで後悔をしたくないので涸沢岳への縦走を決めた。
北穂の山頂から見た奥穂への尾根は、岩場の連続なので緊張感が高まってくる。
北穂から涸沢岳へは、最低コルへ下ってから登っていくことになる。
北穂から歩き出してすぐ雷鳥が出てきたので、先行きがよくなりそうな気がしてきた。
奥穂への分岐から北穂の南峰を過ぎると谷側の岩場に出る。
なるべく真下を見ないように慎重にクリアしていく。
それにしても奥穂までは険しい道のりだ。
涸沢岳から来た人とすれ違うのも大変なので、スペースのある場所で待つしかない。
見上げると、よくあんな岩場を降りてきたなあと思ってしまう。
途中で振り返ると、槍がだんだんと離れていく。
険しい岩場の連続だけど、花々には気分が和む。
岩場を登ったり下ったりの繰り返し。
最低コルから涸沢槍をまわっていくときはドキドキもの。
この尖った槍を乗り越えるものかと、覚悟していたから違ったので一安心だった。
あちこちで見かけるイワギキョウがきれい。
とにかく気を抜けないまま、ようやく涸沢岳の頂上が見えてきた。
ここからが最後の岩場登りでがんばりどころ。
かなり大きな浮き石があるので注意が必要だった。
気をつけないと落石が怖い。
登っている途中で振り返ると、よくこんな尾根を歩いてきたなあと感じる。
かなり北穂と槍が遠くなってきた。
まだまだ鎖場が多い。
最後のがんばりで岩場を登っていく。
下を見ると、ひえ〜って思う。
ついに山頂が見えてきた。
やっと涸沢岳の山頂に到着。
穂高連峰の中では地味だけど、標高が3110メートルもある。
北穂からのスリリングな岩稜歩きだったので、重みのある達成感だった。
しかし涸沢岳の山頂は狭い岩場なので、あまりゆっくりできる雰囲気ではないかな。
涸沢岳から見る槍も素晴らしくて感動しまくり。
それにしてもよくこんな岩稜を歩いてきたなあ。
笠ヶ岳がどっしりとしている。
涸沢岳のすぐ目の前には、奥穂と穂高岳山荘の赤い屋根が見える。
360度の景色を堪能したら下山開始だ。