南の果ての島へ
・波照間島

>8月29日(月)


朝は涼しくて快適な目覚めだった。
この宿は朝食でトーストとコーヒーや牛乳が付いていた。何人か泊まっていたようだったけど、会ったのは朝食で一緒になった一人だけ。
準備をして出発しようとしたら、宿のねーねーに台風が発生したよーとのこと。
え? テレビや天気予報なんか見ていないから、ぜんぜん知らなかった。
これから波照間行きの船に乗るんですけど…
むむむ…どうなることやら。こんなに天気がいいのになあ
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石垣の離島桟橋

宿から船が出ている桟橋は歩いてすぐだった。
これは重いザックをかついでいる身には助かる。
日差しが出てくると少し歩いただけで汗が出てきて暑い。


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きれいな海を見ながら石垣を出港
 
波照間島行きの船は二つの会社が運営していて、少し先に出る安栄観光の船に乗ることにした。
船は一日に高速船が三便あり、もう一つの波照間海運のニューはてるまも同じ時間帯に出ていた。
一便目の8時半出発の船に乗り石垣島から出港。天気がいいから海がきれいだ。
高速船は速度を上げるので、ゆっくりとした船旅という感じではない。
まだ海が穏やかだからいいのかもしれないが、これで荒れていたらどうなることやら。


約一時間の船旅を終えて、ようやく波照間港へ到着した。
波照間は有人島として日本の最南端に位置する島。
隆起珊瑚礁でできている島は周囲約15キロのほぼ平らな形。

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ついに南の果てに来たんだという実感がこみ上げてきた。
宿の車が迎えに来ていたので乗り込むことに。
一緒になった二人の旅人と波照間で泊まる民宿たましろへ向かう。
運転していた宿のおじさんは愛想ないけど人がいい感じ。


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宿にすぐ着いて荷物を降ろすと、みんなが心配していたのが台風のこと。
なんでも今日の朝の便でほとんどの人が石垣に帰っていったそうだ。
そういえば港にやたら人がたくさんいると思った。
宿のたましろさんにも台風が来たら、船が出ないので島に閉じこめられるから考えてとのこと。
台風が去ったあとも何日か海が荒れてダメみたい。
まあ、それでもいいか。今回の日程を波照間で終わらせてもいいし。

でも一緒に来た二人は心配だったみたいで宿泊をキャンセルして最終の三便目で帰ると決めた。
普通そうだよな。先の予定を決めたいたら無理はできないよ。
なんか結局はなりいきにまかせる旅となるかも。
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民宿たましろ


まだ時間も早いし天気もいいので島巡りといきますか。
宿には使える自転車が残っていなかったので、一緒のAさんとBさんの二人と近くのレンタサイクルを借りてニシ浜ビーチへ行くことにした。
暑いけど自転車で走ると気持ちいいねえ。
やがてニシ浜が見えてくると、あまりの海のきれいさに言葉をなくした。
こんな美しい海を見るのは初めてだ。

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波が透明で透き通っている。天気がいいから更にきれいなんだろう。
遠浅なので、かなり歩かないと沖のほうまで行けない。
と思ったら場所によって深さが違うみたい。
海の色は深さで違うことがわかった。
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深いほうへ行ってみると珊瑚礁だらけで魚がいっぱい泳いでいる。
透明度が高いので海の中が鮮やかだ。でも素潜りなので息の限界があるけど。
だんだんと沖のほうへ行くと、急に深くなるので驚いた。
ここまで来ると大きな魚が気持ちよく泳いでいる。
今回は水中で使える使い捨てカメラを持ってきてので撮影してみる。
カンで撮るから、どうなっていることやら。


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カンで撮ったので失敗写真ばっかり(涙)
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珊瑚礁と魚がたくさんだった

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かなり海を楽しんだので少し休憩。
それに体を動かしたからお腹も空いたし。
自転車でちょっと出かけてみることにした。

すると近くに青空食堂があったので覗いてみると、さっき一緒だったAさんがいた。
おお、オリオンの生と焼きそばがうまそうだったので注文。
この食堂は青空と名前が付いているだけあってテーブルは野外だけ。
サトウキビ畑で働いている人たちと一緒になり、島のことをいろいろ聞けた。
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青空食堂の裏側がテーブル席


なんだかビールで気持ちよくなって、キビのアイスを食べながらのんびりしてしまった。
ヤギも暑さで木陰で昼寝しているしね。


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沖縄そばの麺の焼きそばで腹いっぱい
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島乗り?


さてさて、せっかくなので最南端へ行ってみようかな。
軽い気持ちで自転車で走り出したら、とにかく暑い。
平坦な島とはいえ、登り坂があると大変。


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サトウキビ畑の中を走っていると、自分がどこにいるかわからなくなってくる。
当たり前だけど親切な標識なんてないから迷いそう。
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海から離れたなかに灯台


やがて急な坂を下ると最南端の碑に到着。
とうとう南の果てまで来てしまったんだなあ。
(実際には日本の最南端は無人の小さい沖の鳥島。でも行きたいとは思いないけど)
しばらく風に吹かれて南の海を眺めていた。

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最南端の碑の手前にある日本最南端平和の碑

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南の海に向かっている日本最南端の碑
 
とはいっても暑くて近くにあった屋根のある吾妻屋で休憩。
強い日差しでも日陰に入ると涼しい。


近くの星空観測タワーへ行ったら、ちょうど月曜が休館だった。
残念と思っていたら、このあと台風でずっと休館になってしまった。
まあ次回の楽しみとしましょ。


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星空観測タワー

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星空観測タワーの近くの吾妻屋にはヤギだらけ
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さて、そろそろ宿に戻ろう。さっかく来たのに日帰りになってしまった二人を見送らなければ。
またサトウキビの中を走っていると迷ってしまう。とにかく集落へ戻るなら電力所の風車が目印。
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島の集落
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赤瓦の民家が多い

残念そうに帰っていくAさんとBさんにお別れ。せめて一泊できればいいのにね。
今日泊まる人は今のところ4人らしい。昨日は20人いたというから台風恐るべし。
でも最終便で泊まる人が更に来たので、この日は8人となった。
台風が来るっていうのに、あえて離島にいるなんてあきれるね。
やばいやばい、楽しんでいる自分がいる。
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モンパの木
 
近くにある島で唯一のおみやげ屋のモンパの木へ行ってみる。
なんかアジア的な雰囲気の小さい店で、オーナーのお母さんや、店のにーにーと話しこんでしまった。


夕食まで庭先のテーブルのベンチでのんびり。このなんともいえない時間が好き。
シャワーを浴びたら、オリオンで喉を潤す。


そして夕食。まずは幻の泡盛と呼ばれる波照間の「泡波」で乾杯。
初めて飲む泡波は飲みやすくてロックでどんどんいけそう。
生産量が少ないため、島の外へ出るとプレミアがついて高くなるらしい。
島で愛される泡盛は、やはり波照間で飲まなければね。
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ついにご対面の泡波

ついに食事が運ばれてきた。噂には聞いていたけど、その量を見てビックリ。
半端じゃない山盛りに言葉をなくすわ。でもボリュームはあるけどおいしい。
常連さんのアドバイスで麺類は伸びる前に食べること。
やはりというか完食は無理だった。おかずのみほとんど食べたけど。どちらかというと泡盛のつまみで食べ続ける感じ。
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ごちそうさんっす


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ゆんたく
 
ずっと連泊している名古屋のMさんは、もう何回もたましろに泊まっているとのこと。
今年もう二回目だか三回目だかと言っていたからすごい。
それなら帰らないで、ずっといればいいのにと思うけどマイルが貯まるから帰るって。
今回も選挙のために帰って、また来るとか言っているから何も言えまへん。


京都から来たKさんも何回か来ている常連でニシ浜にも行かず、たましろにいるのが好きらしい。
なんだかその気持ちもわかってきた。好きな宿があると来たくなるんだよね。
同じ東京から来ているSさんも今年二回目のたましろだって。
もう一週間くらい泊まっているというから、みんな好きなんだねえ。

お金がなくて仕事を探しながら旅している若い人が二人いた。
こういう旅の仕方を20歳くらいでしておきたかったなあと感じた。


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大阪から来ていた女性のNさんが自分の三線を持ってきていたので、三線タイムに突入。
こうやって三線を持って来るのは憧れだよ。
泡盛を飲みながら気持ちいい夜。
せっかくなので、ちょっと弾かせてもらう。
まだヘタなので人前では恥ずかしいんだけどね。


ふと見上げると満点の星空。なんてたくさんの星なんだろう。
ああ、天の川がはっきりとわかる。
少し暗いサトウキビ畑のほうへ行くと、更に星がよく見える。
ずっと見ていると吸い込まれそうだ。
流れ星がスーッと彼方に消えていった。

何人かでニシ浜まで行くことになった。
そうそう、たましろは波照間では一番ニシ浜に近い宿なので歩いて行ける。
歩いて行くと真っ暗で何も見えない。
当たり前だけど外灯がないと本当に真っ暗。
ニシ浜に着くと少し雲が出てきてしまったけど、波の音を聞きながら南の島を満喫していた。



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