
朝になり気づくと、すでに南大東島に着いていた。
沖縄本島から約390キロも離れた島に着いた実感はまだない。
とにかく予定通りで無事に到着して一安心。
これほど揺れるとは心臓に悪い船旅だ。
フェリーだいとうは南大東島に先行してから北大東島へと向かう便と、その逆コースになる便がある。
それが交互になるようにスケジュールが組まれている。
今回は南大東島に先に着くため、まずは南大東から泊まることにした。
風向きや波の状態で数ある港のうちのどれかに決まるとのこと。
今日は西港のようだ。
港を見るとクレーンがどーんと構えている。
そして、ついに憧れ続けていた一大イベントの始まりだ。
勝手に自分でそう呼んでいるだけなんだけど。
人が乗る鉄の檻がぐわーんとフェリーに寄ってくる。
そそくさと乗客が乗ると引き上げられて一瞬の空中散歩。
楽しむ余裕もないほど、あっという間に港に降ろされる。
まあ、遊びで乗っているわけではないので、安全ですぐ終わることが一番か。
でもクレーンで上陸できたことで夢がかなった気分だ。
ほとんどの乗客は島に春休みで帰る人ばかり。
どう見ても観光の旅人は自分だけだったので、これからが気になる。
迎えに来ていた車で宿に向かった。
島で宿や店などが多い集落に入ると、居酒屋やスナックなどの飲み屋が並んでいる。
ここが島の親不孝通りとのこと。
といっても田舎の静かな飲み屋といった感じでかわいいもんだけど。
天気もよくなかったので、宿で一休みしたあとに集落へ出てみた。
お昼だったので、ここはやはり大東そばを食べることにした。
大東そばは那覇でも食べることができる。
昨年の那覇での離島フェアでも食べたので、ようやく本場で味わうことに。
木灰汁と海水で作る手打ち麺は、うどんのようなしっかりした感じ。
沖縄そばでは卵焼きが珍しいね。
あっさりした味で食べやすいそばだった。
ただこの食堂は工事などの仕事関係の客で賑わっていた。
メニューに食べ放題のバイキングがあり、こちらにあったカレーが気になった。
天気もよくなってきたので、宿で自転車を借りて出かけることに。
やたら道にはつぶれたカエルが多い。
こんなにペッチャンコのカエルを見るのは初めてだ。
なんでもサトウキビの害虫駆除のために持ち込まれたのが大量繁殖したらしい。
大東島には天敵のヘビがいないのと、池が多いためカエル天国の島のようだ。
ただひとつの天敵が車だったということなんだろうね。
だから道路には、ひかれたカエルだらけ。
正直、あまり気持ちのいいものではないけど。
以前の旧南大東空港に行ってみると、ラム酒の蔵元として使われていた。
せっかくなので見学させてもらうことにした。
ラム酒ってサトウキビから作られているんだよね。
沖縄では泡盛というのが一般的なので、ありそうでなかったお酒。
糖蜜から着色や味付けして作るラム酒が一般的だが、ここはサトウキビの搾り汁から作られている。
しかも無添加、無着色の手づくりラム酒とのこと。
だから無色透明のホワイトラム。
今まで飲んだことのある海外のラム酒は着色された味のついたものだった。
サトウキビ本来の味を知るためには一番いい酒かもしれない。
工場内も少人数による手作り感にあふれていて好感が持てた。
瓶詰めやラベル貼りまで手作業なので、これだと大量生産ができないのがよくわかる。
いろいろと詳しく説明してくれたお兄さんありがとうね。
島の情報も教えてもらったし。
緑ラベルがサトウキビ汁を発酵させたもので、赤ラベルが糖蜜を発酵させたもの。
試飲させてもらうと度数が40度もあるので喉を通るとカーッとくる。
そのあとに独特のやさしい香りが漂って意外と飲みやすい。少しクセがあるかな。
結構いい料金なので迷ったけど、両方買ってしまった。
まだ旅が始まったばかりなのに重い荷物が増えたけど、まあいいか。
せっかくなので近くのサトウキビの前で撮影してみた。
ラベルのデザインがいい感じ。
集落から少し行くと大東神社があった。
まずは大東での旅の無事をお祈りすることに。
神社の脇には土俵があり、奉納相撲が行われているらしい。
これも八丈の文化が伝わってきた証だ。
まわりの林はダイトウオオコオモリがいるらしいが見かけることができなかった。
曇り空だったので、島で大きな鍾乳洞の星野洞へ行ってみた。
自転車だと坂があるし、思ったより距離があったので疲れてしまった。
受付で入場料を払うと、懐中電灯と小さなラジカセを渡された。
どうやらこれで順番通りにスイッチを押して、録音されたガイドを聞くようだ。
鍾乳洞でこんなやり方は初めて。ローカルっぽくていいけどね。
南大東島は珊瑚礁が隆起してできた島なので、石灰岩の地下は鍾乳洞だらけのようだ。
でもほとんどは畑などのため埋め尽くされた。
その中で規模が大きな星野洞はちゃんと保存された一つ。
星野洞の中は400メートル以上の規模らしいが、見ることができるのは一部みたい。
内部はたくさんの鍾乳石があり神秘的な世界で美しい。
時間の流れるのを忘れてしまいそう。
もしかしたら一番の観光名所と呼べるかもしれない。
奥まで行くと泡盛が保存されている。
湿度が一定なので記念用に昔から使われているそうだ。
西港に停泊していたフェリーだいとうが出港する時間なので見に行ってみる。
これから北大東島に寄ってから那覇まで戻る。
ようく見ていると船はぐらりぐらりと揺れている。
船体損傷をさけるため岸壁から離れているのも理解できる。
クレーンで人が乗るのを見ていると、やはりあっという間に終わってしまった。
車や荷物も次から次へと積まれていく。
さすがに手慣れたもので作業が早くて感心してしまう。
大東では岸壁へのロープの固定が大変なのだが、さらに海にある浮き輪にもロープをつないでいる。
そのため最後にはしけと呼ばれるボートで回収作業をしてクレーンで吊り上げられる。
この海での作業がなんといってもカッコいいわ。
そして船は出港していったのでした。
西港の上の高台に石積みの遺跡みたいなものがあった。
なんだろうと思ったが、昔のクレーンを動かすためのボイラー室だったようだ。
さらに歩いていくと島の開拓百周年の記念碑があった。
その隣の木の上にダイトウオオコウモリを発見。
と思ったら電灯のオブジェでないか。
しかも他にもトイレや水道にはダイトウオオコウモリだらけ。
ここまでたくさん作る必要があったのかな。
実はここはフロンティアパークという公園みたいなキャンプ場だった。
ちょっとしたお化け屋敷のようになっていたので笑ってしまったよ。
あと南大東島郵便局のポストにもダイトウオオコウモリがぶら下がっている。
島の西側にある塩屋海岸に行ってのんびり。
ここには海辺の岩礁をくりぬいて作った人工のプールがある。
夏場はここで泳ぐが、この時期はまだ海が荒くて近寄るのも怖いくらい。
ビーチがない島での工夫が感じられる。
夕方になると空が染まってきた。
完全な夕日ではなかったけど、沖縄の東の果てで見てもきれいだった。
海ぎりぎりのところで釣りをしている人がいる。
ちょうど干潮のときだったみたい。
夕焼けで刈られたばかりのサトウキビ畑が赤く染まっていた。
泊まったところは食事付きだった。
少しだけ沖縄らしい料理が付いていた。
あと大東島のテレビは地上波の放送が入らないため、BSのみを受信をしている。
それも最近になってのことのようだ。
そのためテレビを見ていると関東の放送ばっかり。
ニュースは関東の情報がわかって助かるが、天気予報は沖縄のことが知りたいんだけどね。
ぜんぜん沖縄のローカルニュースが入らないっていうのも変な感じ。